信越本線の廃止区間「横川~軽井沢」2020年05月27日 22:56

1997年の長野新幹線の開業と引き換えに、信越本線の「横川~軽井沢」間が廃止され、「軽井沢~篠ノ井」が「しなの鉄道」に移管されました。
今回は少し・・・というよりとても懐かしい、この区間の写真を紹介します。

東京から遠くないこともあり、廃止直前はすごい人出でしたが、その数年前まではそれほどでもなく、夏休みとかでない限りは静かでした。

いまでも国道18号線の旧道を進んでいくと、ところどころにアプト式時代の遺構を見ることができます。

軽井沢から順に横川に向かっていきます。


まずは軽井沢駅。
駅の南側に「軽井沢プリンスホテルスキー場」があり、その山頂から軽井沢駅を眺めることができます。
特急「あさま」が補機(「補助機関車」のことです)のEF63を連結して、行き来しています。
まだ、ショッピングセンターはありません。



次は軽井沢駅から少し横川寄りに進んだ、通称「矢ヶ崎の踏切」です。
今はもう、この踏切はなくなって、近くに立体交差のトンネルができました。
この区間にわずかだけ設定されていた普通列車は、いまも「しなの鉄道」で現役の「115系」3両編成で、そこに2両の機関車を連結して、横川に向かいます。
この日は3両編成を2本つないだ6両でした。



最初のトンネルに入るとき、その上を国道18号線が横切ります。
ちょうどそこに駐車スペースがあり、トンネルに入っていく列車を上から見ることができました。
撮影のタイミングとしては難しいです。




この横川~軽井沢間は最初は「アプト式」の単線の線路がありました。
単線だったころ、中間の「熊ノ平」という場所に、行き違いを行うための「信号場」が設けられ、のちに「駅」になりました。
新しい複線の線路ができてから行き違いは必要なくなりましたが、この信号場は線路が水平なので、峠を下る横川行きの列車はここで一息、峠を上る軽井沢行きの列車はここで勢いをつけて進んでいました。


駅があったころ、秋の紅葉はとてもきれいでにぎわっていたようです。
ここは唱歌「もみじ(♪秋の夕日に照る山もみじ~)」の場所です。


横川に向って進んでいくと、最大のビューポイント「めがね橋」です。
明治時代にレンガを積んで作った橋が、今も残っています。
新しい線路は「めがね橋」のさらに奥のほうに、コンクリートの橋がありました。



このレンガの「めがね橋」は、今は観光スポットとして整備されていて、横川からここまで歩いてくることができます。
撮影した当時は橋の下から「けもの道」のようなところを歩いて登りました。
今はここに登る道も整備されています。

めがね橋の上から、軽井沢に向かう特急「あさま」を撮影しました。
橋が傾いているように見えますが、これだけの「急こう配」ということです。


この場所に上り下りの列車が並ぶタイミングがあるみたいで、列車がぴったり並んだ写真をみたことがあります。

もうひとつは「機関車の回送」です。
この区間を走れる機関車は決まっていて数も限られているので、上り下りの本数のバランスを合わせるために回送列車が走っていました。
この日は「EF62」を先頭に、2両の「EF63」をつないだ「三重連」がやってきました。




上野行きの列車の車窓にゴルフ場が見えてくると、最急こう配の区間は終わり、横川までもう少しです。
今は温泉があり、そこまではトロッコが走っています。

もう少し行くとレンガの建物が見えてきます。
アプト式の時代に変電所があった「丸山」です。
今はきれいに整備されているようですが、撮影した当時は廃墟のようになっていました。
ここは線路がちょっとカーブしているので、いい雰囲気の写真が撮れました。
横川駅にも近いので、臨時列車が来るときはいつもにぎわっていました。


とくに客車列車のときは機関車が3両つながり、後ろの客車まで青色が揃いました。

もちろん、いつもの特急「あさま」も、いろんなアングルで撮影できました。



丸山変電所の前のカーブを過ぎると横川までは直線区間です。
途中に小高い丘があり、丸山変電所の建物を入れて、気軽に撮影できる場所でした。



機関車を3両つないだ客車列車も、特急「あさま」も、レンガの丸山変電所まで全部、ぴったり画面におさまります。


この丘からもう少し横川側に下ると、こんな感じにオーソドックスな写真が撮れました。
ここまでくると線路の勾配はゆるくなり、見た目水平のようになってきます。
旧線もこの辺りは「アプト式」ではなく、普通の線路でした。



横川駅。
今は山の中の行き止まりの小駅ですが、軽井沢までの線路があったころは多くの機関車が行き交い、列車が来るたびに連結、解放が行われました。
この待ち時間に「峠の釜めし」を買うのが、旅の楽しみでした。




横川駅から切り立った岩山が見えますが、ここの山には登ることができます。
途中には「鎖場」もあって険しいコースですが、丸山付近から横川駅までを見渡すことができるビューポイントでした。
この地図の場所は正確ではないかもしれません。



長野新幹線が開業してからもう20年以上過ぎました。
新幹線は金沢まで伸びて、開業時の車両はもう走っていません。
最後の写真は長野駅で撮影した、開業時の「E2系」と現在活躍中「E7系」の並びです。




この区間の思い出としては「峠の釜めし」や横川・軽井沢駅での機関車の連結開放風景ももありますが、
いちばんは特急「あさま」に乗ったときの、空気ばねをパンクさせた、ゴツゴツ、ゴロゴロした、トロッコみたいな乗り心地です。
コイルばね装備で無動力の普通列車のほうが静かで乗り心地がいいという、全国的にも珍しい区間でした。
トンネルにこだました機関車「EF63」の音も懐かしいです。